検査会社の遺伝カウンセラーが妊婦へ無料相談?
今回はこのニュースについてです。
NIPTを販売する検査会社に所属する認定遺伝カウンセラーが、
自社のNIPTに関して相談にのるサービスを開始する、との内容。
読んだ瞬間はぎょっとしたのですが、
冷静に考えてみると、
健康系商品に付随した医療専門職による無料相談サービスはありふれていますので、
遺伝カウンセラーがしても問題無い・・・ような気もします。
ただ、遺伝カウンセラーには他の医療専門職と違う特色があるんです。
記事の中で認定遺伝カウンセラーの仕事は
適切な遺伝情報や社会の支援体勢等について情報提供を行い、心理的、社会的サポートを通じて支援をする保健医療・専門職
とありますが、
大切な部分が抜けています。
患者の権利を守る
です。
そのために、
遺伝カウンセラーは常に、医療(検査・治療)を提供する立場とは離れた目線を持たなければならないのです。
確かに、病院に所属していても中立的な立場を保つのは限界がありますが、
少なくとも検査会社に所属しながらでは難しいと思います。
遺伝カウンセラーが世間に認知されつつある中、
このような「中立性を大切にしている職種」であることも一緒に知ってもらえたらいいなと記事を読んで思いました。
話が拡大しますが、
NIPTにまつわる諸問題はなかなか難しいですね。
今回のことも、関連学会からの「NIPTの検査前や陽性時に遺伝カウンセリングををしない施設は不適切」という指摘を受けての対策でしょうから、
遺伝カウンセリング提供体制が全く無いよりかは前向きな取り組みとも捉えることができます。
それに、遺伝カウンセリングを受けたくても受皿が少なくて受けられないという人が多いという問題は未解決ですので、
そう簡単にこのサービスだけをやり玉に上げるのも違うなと思います。
どうしたらよいものか・・・動向を見守りましょう。
最後に、誤解ないように追記です。
検査会社に遺伝カウンセラーが所属することが良くない、と言っているわけではありません。その立場で直接患者さんに検査の話をすることが望ましくない、という趣旨です。
実際に検査会社に勤務されている遺伝カウンセラーはたくさんいますし、様々な医療職への学術的サポートに尽力されています。
読んでいただきありがとうございました。
井令 咲恵(いれさき)