理学部生、遺伝カウンセラーになる

"遺伝"と触れ合いながら生きていく、試行錯誤の記録。twitter @sakie_irayで最新情報を発信中。

遺伝カウンセラーが勇気をもらえる動画 その1

Youtubeで勇気をもらえる動画を見つけたので、
ここでシェアしたいと思います。
(※今日の記事は遺伝カウンセラーや目指す人向けです)

www.youtube.com

アメリカの遺伝カウンセラーの職能団体であるNSGC(National Society of Genetic Counselors)の動画です。


昨年、ソルトレークシティでの第38回NSGC学会で行われた、

設立40周年記念セッションの講演がアップロードされています。

 

この講演の動画はいくつかあり、
1、創始者Audrey Hermler氏より祝辞
2、NSGCのこれまで
3、現在
4、これから
の4本あります。

 

今日は「1、祝辞」の講演を、勝手に翻訳して載せてみます。
(素人の翻訳ですので大目に見てください)

 

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(司会)
もう紹介不要ですね。
NSGCの創設者であり、初代会長であるAudrey Hermler先生です。
Hermler先生は、2019年に南フロリダ大学より公衆衛生学の名誉学位が授与されました。

(拍手)

 

(Hermler)
このNSGC40周年の会で皆さんの前でお話することにとてもわくわくしています。
これまでの大切な軌跡をみなさんと振り返える機会として、この場にお招きいただき感謝しています。

みなさん驚かれるかもしれませんが、私がサラ・ローレンス大学のあるクラスに入学してから実に50年を迎えます。1969年のことで、私は8名の生徒のうちの1人でした。そう、このクラスは世界で初めて、遺伝カウンセリングの修士課程として作られたものでした。

(拍手)

 

このクラスは、モルモットとパイオニア達と呼ばれました。でも私たちは侮辱されていたわけではありません。
これは、新しい専門職として遺伝カウンセラーが医療界で成功するかどうかの実験だったのです。


私が卒業してから5年後、サラ・ローレンス大学で行われる、専門職の団体を作ることについて話し合うセミナーに参加するよう招かれました。
それまで考えたことがない内容でした。

 

話を経て私たちは、次のような結論にたどり着きました。

 

もし自分たちのためにこの構想を実現できなかったら、
きっと様々な専門職で構成された団体に吸収されてしまう。
そうなったら、私たちは「遺伝カウンセラー」の運命を限定的にしかコントロールできなってしまう。

 

そして、私たちはNSGCを作ることを目標として、まずアメリカの遺伝カウンセラーの集団を意図する任意団体を作りました。私はその代表に就きました。

18ヶ月の間、車の運転で会える距離にいるメンバーで隔月で会い、2つの難しい問題について話合いました。

 

1つは職名について、Genetic associateするのかGenetic counselorにするのかという問題でした。遺伝カウンセラーの中にはすでにgenetic associateという名称で働いている人もいましたし、臨床遺伝専門医はgenetic counselorという名称は(患者の)自律性を重んじる意味合いが強すぎると反対していました。

 

もう1つは会員の資格の範囲です。National Society of Genetic Associatesという組織にして、医師や他の医療職も正会員となれる、決議権も持てるような団体にしてほしいという声もありました。

 

でも最終的に私たちは、未来の遺伝カウンセラー達にとって最も強固な団体となるよう進むことを決めたのです。

 

団体の名前は、臨床的な技能を訓練した遺伝カウンセラーとしてのルーツを意味しています。


会員となる範囲は、遺伝カウンセラーのみと新たに定められました。確固とした専門職として定めたのです。

 

1979年に、できたてほやほやの団体が歩み始めました。
そして今、40年の歳月が経ち、みなさんそのものとなりました。
多様な場所で遺伝カウンセリングを行う、
立派で、なくてはならない、独立した専門職である皆さんです。

(拍手)

 

最後に、今日の私があるのは、これまで出会った患者さんや研究、優秀な同僚からから得た学びのおかげです。

みなさんが、私たちが愛する専門性をもって輝かしく力を発揮できますように。

ありがとうございました。

(拍手)

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私も思わず拍手・・・!!!

遺伝カウンセラーの中でこれを読んで(聞いて)嬉しくない人がいるでしょうか(泣)。

 

正直、毎日働く中で、
・遺伝カウンセラーって名前、怪しくない?(by 病院職員、患者さん)
・遺伝カウンセラーって医療の国家資格じゃないんでしょ?
・そんな遺伝カウンセラーに遺伝カウンセリング任せるのって大丈夫なの?
というような視線や声を受けて、心が折れそうになることもあります。

 

自信がなくなると、勉強も進まず、専門性が落ち、ますます自信がなくなる悪循環。
「患者さんのため」だけで頑張れるような強い人間じゃないので・・・。

 

でも、こういうメッセージを聞くと、まず勇気が沸きますよね。
そうすると「もっと頑張ろう!」と思え、勉強する意欲も出てきて、
専門職として力を発揮できる機会が増えていくと思うんです。


私もいつかこんな人になれたらいいな。
未来の遺伝カウンセラーのためにも目の前の仕事に集中して、
信頼を得ていきたいです。

 

ちなみに、日本の遺伝カウンセラー協会の設立が2010年ですので、約30年差!
30年後にこんな感じになれるかは私たち次第ですね。

 

また2,3,4の動画も翻訳していく予定です。

最後にNSGCのリンクを。
https://www.nsgc.org/


読んでいただきありがとうございました。

 

井令 咲絵(いれさき)