理学部生、遺伝カウンセラーになる

"遺伝"と触れ合いながら生きていく、試行錯誤の記録。twitter @sakie_irayで最新情報を発信中。

自己紹介

 

はじめまして

ペンネーム 井令 咲絵と申します。

 

「いれさき」と呼んでください。かなりの猫好きです。

 

現在、認定遺伝カウンセラーとして市中病院で働いています。

 

遺伝カウンセラーに興味のある人、

遺伝カウンセラーになろうかなと思っている人の役に立てたらと思い、

自分の経験や考えを綴っていきます。

 

 

なぜ遺伝カウンセラーになろうと思ったのか

 

理学部で衝撃を受けた学問

私はもともと科学、特に生物が大好きな高校生でした。

なぜ世界にいろいろな生き物がいるのか?

なぜ生き物は生きているのか?

まだ分かっていない不思議を自分の目で確かめたい。

そんな思いで理学部へ進学しました。

 

理学部での生活はまさに理想郷で、

実験にのめりこみました。

 

そこで最も衝撃を受けた学問が、

進化生物学でした。

 

どのように生き物の多様性が生まれたのか?

なぜ多様性が必要なのか?

それに答える「遺伝的浮動」という考え方。

 

私は、その時「DNA」をただの暗号ではなく、

この世界を作り出す鼓動のように感じました。

その魅力に取りつかれたのです。

 

ジレンマから生まれた問い

 しかし、その「DNAのゆらぎ」は、

時に「生きづらさ」として現れることを知ることになります。

 

ショックでした。

はっきり言って、五体満足の健康体、勉強もそれなりにできた私にとって、

今まで関わる機会がなかった世界でした。

 

確か生命倫理の講義だったと思います。

たとえば、もし妊娠中に赤ちゃんに「遺伝子の突然変異による病気がある」と分かったらどう思う?と聞かれた時に、

 

私はさっきまで、「DNAの作り出す多様性は素晴らしい!」と言っていたのに、

「産まれてきてほしくない」と思ったのです。

 

なんという自己矛盾。息ができないほど胸が詰まりました。

 

どうやったら「産まれてきてほしい」って思えるんだろう?

どうやったら遺伝的に多様な人たちが幸せに過ごせるようになるんだろう?

 

この問いに導かれた先に、

遺伝カウンセラーという仕事を見つけました。

 

そこから、いれさきの新たな道が始まったのです。